こんにちはたぬきです。
生活する中で、健康保険証の発行元が変わることはよくあります。「就職した」「収入が増えて親や家族の扶養から外れた」「会社員ではなくなったので、国民健康保険となった」など場面はさまざまに考えられます。発行元を切り替えるタイミングでは、手続きに時間を要するので、すぐに健康保険証が使えるわけではありません。
・就職先したばかりで健康保険証が発行されていない
・就職してもすぐに辞めた
・同じ月のうちに再就職した
その間に通院した時は一体どの健康保険になるの?辞めた会社の保険証を使っていいの?という疑問を持ったことはありませんか?
健康保険証を使いたい日にどこに所属しているのかが重要
加入する健康保険は、就職した日より使用できる
特定の健康保険に加入することを「資格を取得する」といいます。
資格の取得日=会社に使用されたと認定された日です。
就職する会社の健康保険証は、手続きのタイムラグを無視して考えるなら、入職した日より使えることになります。
入職日は雇用契約書などで確認が可能です。
会社によっては、例えば“4月2日に入社式が行われたが、1日より既に入職していることになっている“など、初めて出勤した日と資格の取得日がずれている可能性があるため、注意が必要です。
また、扶養内で働いていた人が、勤務時間などの変化で扶養から外れることになったときは、変化が生まれた月から加入する必要がありますが、今まで扶養に入っていた健康保険の方で独自にルールがある場合がありますので、確認してください。
ルールに合っていれば、加入日は会社の給与の締日に合わせるなど、調整が可能な場合があります。
使えなくなるのは、退職日の次の日から
その前日までは、前の保険となります。
これはどの健康保険でも「資格喪失日」は退職日の次の日と決められているからです。
退職以外で資格を喪失する理由としては、
・被保険者本人が死亡した
・勤務日数や労働時間などの兼ね合いで被保険者になる条件を満たさなくなった
・働いている会社自体が、健康保険が適用される従業員規模でなくなるなどして適用が取り消された
なども考えられますが、上記においても事実発生の次の日が「資格喪失日」となります。(健康保険法第36条)
どの制度にも加入していないということはない
日本は「国民皆保険」です。これはどの人も、何かしらの健康保険には入っているということです。転職して、再就職するまで数日空いたとしても、「無保険」になった訳ではありません。
国民健康保険や、家族の扶養であることが考えられます。(厳密にいうと、前の保険の任意継続、75歳の後期高齢者医療制度の加入者や、船員保険の加入者、生活保護の医療扶助自給者等ということもありえます)
手続きのタイムラグ中はどうする?
健康保険の加入は雇う側(事業主)が行います。
「事実が発生して5日以内」に「被保険者資格取得届」を運営主体に提出します。
手続きが完了すれば、今までは健康保険証が発行されていました。
今までは、
届出の郵送 → 運営主体での手続き → 健康保険証の事業主への郵送 → 被保険者へ渡る
でどうしても手元に健康保険証が届くまで2〜3週間かかっていました。マイナンバーカードを保険証として使用している人は、健康保険証の事業主への郵送が省略されるので、従来より早く新しい保険証が使えるというメリットがあります。
手続きのタイムラグ中、医療機関を受診した場合は、まだ医療機関はその人がどの保険に加入しているのか確認することができません。医療機関からすると、自己負担額以外の医療サービス費をどこに請求するかが不明な状態になります。
そのため、手続き中である場合、
医療機関の窓口でその旨を伝え、その日は10割で支払うのが一般的です。
この時の領収書は保管必須です!
後日、健康保険証が発行されたら、以下の手続きをすることになります。
① 医療機関で健康保険証と領収書を提示し、自己負担分のみ残し、後を返金してもらう。
この対応は医療機関側の義務ではないので、対応していないところもありますで確認が必要です。
またこの方法には期限があります。医療機関は毎月、保険者(医療保険の運営元)に健康保険分の医療サービス費の請求をしています。そのため、事務処理が終わってしまった日の分については、次の②の方で手続きするよう言われます。
②保険者(健康保険証の発行元)に還付手続きを行う
保険者に「療養費」の請求をします。(医療機関で受ける治療を「療養の給付」といいます。)
保険者の指定する申請書に、医療機関からもらった領収書などを添付して請求することが主です。
時間はかかりますが、支払い過ぎた分が返金されます。
→参考までに、協会けんぽではこのような案内となっています。
この請求には期限があり、診療を受けた日の翌日から数えて2年以内と決められています。忘れずに請求しましょう。
資格を取得した月内に仕事を辞めた場合
この場合は、会社側が既に資格取得の手続きをしているかどうかを確認する必要があります。
稀にあまりにも仕事を辞めるのが早かった場合、会社の手続きが間に合っていない場合もあります。
手続きが未完の場合
①事実通り、会社には資格取得及び喪失の手続きをしてもらい、退職日の次の日から国民健康保険等の加入を行う。
正確性を考えると加入期間を記録として残せるといいですが、辞める予定の会社に手続きの手間をお願いすることになるので、現実的とは思えません。また、たとえ1日でも加入期間があれば、その月の健康保険料は必要となっており、給与から天引きされます。会社で加入した健康保険と、退職して加入した国民健康保険料と、二重に支払いが発生することになります。
②就職がなかったものとして、遡って国民健康保険等の加入を行う。
就職前にも国民健康保険に加入しており(家族の扶養に入っており)、その資格喪失届が済んでいない場合は、そのまま国民健康保険に加入し続ける形で構いません。
手続きが既に行われている場合
退職日の次の日から、国民健康保険や家族の扶養に入るようご自身で手続きをします。
この場合も、切り替えの間に医療機関を受診した場合は「国民健康保険の資格取得の手続き中である」ことを伝えてください。就職中に使っていた健康保険を使うことはできません。
またその月中に再就職したら?
それぞれの資格取得日、喪失日を確認しましょう。
4月1日に会社Aに就職し、4月15日に辞めて、4月25日から会社Bに転職した場合
・4月1日〜15日 は会社Aの健康保険
・4月16日〜24日 は国民健康保険もしくは家族の扶養
・4月25日〜 は会社Bの健康保険
となります。切り替え中は、保険証の提示ができないため、医療機関の受診は一旦10割で支払い、のちにそれぞれの発行元で「療養費」の請求を行います。
健康保険証がまだ手元にあるからと、既に資格喪失している保険を使用するのは止めましょう。
民法703条の不当利益の返還義務にあたります。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
間違って提示した場合は、後日、健康保険証の発行元(保険者)から返還の請求があるため、忘れず手続きするようにしてください。

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